スピンバイクは構造が単純であり、それゆえに高強度・長時間の使用に耐える作りになっている。3万円ぐらいのごく安い機材でも十分トレーニングに耐える強度を持っている。
ということで、高強度(無酸素運動)・長時間(有酸素運動)の様々なバリエーションをこなすことができる素晴らしいトレーニング機材なのだ。
この記事ではダイエットなどの目的別のトレーニングを紹介し、そのための適切な運動の強度について解説する。
運動強度によって得られるトレーニング効果が異なるので、効率良く効果を得るために是非参考にしていただきたいというわけである。
お勧め機材の紹介
スピンバイクについて
私が保有していたスピンバイクは3種類あった。そのうち1つは廃盤になっているので2機種を紹介する。このいずれともにお勧めである。
お勧めの理由としては、連続使用時間が長く、かつ高い負荷がかけられるためダイエットを始めとして様々なトレーニングに万能に使えるためである。そして価格も比較的安い。
1台目のハイガー産業のHGーYXー5006というスピンバイクは単身赴任先で使っていたのであるが、自宅に帰って来る際に知人にあげてしまったので今は使っていない。レビューは「激安スピンバイク「HG-YX-5006」長期使用レビュー これは買いだ!」を御覧いただきたい。
2台めはFITBOXというスピンバイク。後発だけあって様々な点において洗練されている。非常によく売れているようである。FITBOXについてのレビューは「最強スピンバイク?FITBOX買ってしまったのでご紹介である」に詳しく書いたので興味のある方はそちらをどうぞ。
心拍計について
①一番簡単で安上がりな方法
強度と時間の掛け合わせによって様々なトレーニング効果が生まれることにより、様々な目的別のトレーニングが存在する。
時間は簡単に測定できるが、運動の強度を簡単に測定する方法が心拍数である。心拍数をはからなければ始まらないのである。
最も安くて実用的でお勧めできるのが「EZONの心拍計付スポーツウォッチ」である。
これを使えばかなり高い精度で心拍数を測ることができる。
最初から心拍計がついているスピンバイクも数多く存在するが、センサーの部分を握っていないと計測ができないので、このような胸にベルトをつけて計測するタイプがお勧めである。
このEZONのスポーツウォッチは私も実際に買って精度を検証しており、お勧めできるものである。
詳しいレビューは「EZONの心拍計付スポーツウォッチの精度をGarminと比べてみる」を御覧いただきたい。
②測定センサーをそろえて将来的にシステムアップする方法
この心拍センサーをスマホにペアリングして、測定するという方法もある。
将来的にスピードセンサーやケイデンスセンサー、サイクルコンピューター、パワーメーターといった機器を買い足してグレードアップすることができる。
必要なスマホのアプリや、機器の接続方法についてはこちらの記事を御覧いただきたい。
エアロバイクをスマート化してトレーニング履歴を管理する方法
トレーニングの方法
まずは最大心拍数を求める
最大心拍数を求める方法には2つある。
1.の簡易式は誤差が大きいので、2.のように実際に計測することが望ましい。
しかし、最大心拍数を記録しておける機器が必要なこと、辛さにうちかって限界まで心拍数を上げることが難しいため、実務上は1.の簡易式がよく用いられる。
1.簡易式(220公式)
これは簡易な方法でよく用いられている。
最大心拍数 = 220 – 年齢
2.実際に測定する方法
まずはスピンバイクで10分間続けて同じペースでは走れないというだいたいのペースを把握する。そのペースで3分間走り、1分間の休みを挟んで計3回走る。
その間の最大の心拍数が最大心拍数である。
もしやるのであればこのトレーニングはかなり運動強度が高いので、充分にウォーミングアップを行ってから実施していただきたい。
計算結果
詳細は後述するが、最大心拍数の何%程度の心拍数にするかによってトレーニング効果が異なる。
そこで最大心拍数に対しての50%~90%の心拍数がいくつになるのかをここで求めておく。
詳細なトレーニング方法
1つの目的の中でも色々な方法があるのだが、ここで挙げているのは一つの方法である。
でも一つの方法としては役に立つはずである。
1.ウォーミングアップ
最大心拍数の50%~60% 有酸素運動 10分程度
ウォーミングアップは重要だ。
本格的にトレーニングを行う前に体温・心拍数を上げる必要がある。
体温を上げることで筋肉の動きが円滑になる、酸素運搬量が増えるといった現象が起こる。
またいきなり心拍数を上げると、心臓に負荷がかかるのであらかじめある程度上げておく必要がある。
本格的なトレーニングの前にこの程度の心拍数で10分程度ウォーミングアップを行なわないとならない。
あと、トレーニング後にもクールダウンが必要である。
これは別に目標となる心拍数はないが、終了後にまだペダルをこぎ続けることによって、足にたまった乳酸の除去が促され疲労の回復につながるのである。
2-1.ダイエット・脂肪燃焼
最大心拍数の60%~70% 有酸素運動 出来る限り長時間
運動するために必要なエネルギーは糖分と、体脂肪の両方が使われる。
運動強度が低くなればなるほど、運動の際に使うエネルギーを体脂肪を分解して使う割合が多くなる。
そのため、ダイエットで目的で運動する場合、低い運動強度でできる限り長時間行う方がよいのである。
とはいえ、運動強度が余りにも低いとエネルギーを消費するのに時間がかかりすぎるので、この程度の心拍数に設定するのがよいわけだ。
最大心拍数の50%といった心拍数であっても、6時間とか8時間とか乗れるのであれば理想だろうがそうはいかないだろう。
といったわけで上記の心拍数程度の運動をできる限り長くするのがよいというわけだ。
出来る限り長くという話であるが、具体的にはどれくらいか?とあえていうのであれば少なくとも30分以上、できれば2時間ぐらい乗りたいものだ。
あと重要なことは、運動中に糖分を摂取することである。
糖分がなくなると脂肪を分解するためのエネルギーが足りなくなる。
エネルギーが尽きると筋肉を分解して糖分として体が使ってしまうので、筋肉が減るという現象が起こる。この現象をトレーニングの世界では俗にカタボる(カタボリック:異化)といい、どうしても避けられないのである。なるべく影響を軽減するために、運動中は少しづつ糖分を摂取する必要がある。
そこで糖分の入っているスポーツドリンクを飲んだり、甘いおやつを食べたりしながらトレーニングするといった方法がとられる。
2-2.体力づくり・健康増進
最大心拍数の50%~70% 有酸素運動
会話をしながらトレーニングできる程度の心拍数である。
ゆっくりトレーニングすることで、筋肉内の毛細血管網の発達を促す。
この程度の心拍数で長時間行うトレーニングをLSD(ロング・スロー・ディスタンス)といい、このトレーニングを行うことで基本的な身体の土台を作ることができると言われている。
運動を始めたばかりの人などは、身体への負荷が余りかからないこの程度のトレーニングを行うことが推奨されている。時間の目安としては90分以上といわれる。
この程度の心拍数だとほとんど辛い感じがしないことが多いのだが、それでも長時間をかけ、期間を長くとることで効果が期待できる。
LSDの効果は体の器が大きくなると言われるが、そのような身体の基本能力を高めるのに向いたトレーニングである。
3.持久力の向上
最大心拍数の70%から80% 有酸素運動
心肺能力の向上が見込まれる。全身持久力が高まり長時間競技や労働などを行った際に疲れにくくなる。
持久力を必要とするスポーツにおける競技力のアップが期待できる。
競技力をアップするためのトレーニングとして、もっとも多くの時間を費やすものである。
4.基礎代謝・筋力向上
最大心拍数の80%から90% 無酸素運動
この心拍数ぐらいから自覚的な運動強度が上がってくる。
有酸素運動であれば、原理的にはいつまでも行っていることが可能なのだが、この強度ぐらいから酸素が足りなくなってくるため長時間のトレーニングができなくなってくる。
そこで、一定時間この心拍数で運動して、低い心拍数のトレーニングを挟んで休憩し、またこの心拍数で運動するという、きつい・楽・きつい・楽 といったトレーニングを反復するインターバルトレーニングに用いられる。
瞬発力・筋力が必要な競技であればこのインターバルトレーニングがよく用いられる。
インターバルトレーニングは瞬発力を高めるが、あまり頻繁に行うものではなく、1週間に2・3回程度の頻度でよいと言われている。
この代表的なトレーニングが「メディオ」である。
- ウォーミングアップを10分
- 最大心拍数の80%で15分
- LSDのレベルで休憩10分
- 最大心拍数の80%で15分
- クールダウン5分
これは自転車競技においては非常に普及しているトレーニングで、基本とされているものである。
5.瞬発力の向上
最大心拍数の90%以上 無酸素運動
非常にきついトレーニングであり、運動を普段行っていない人がこれをいきなり行うと危険が伴う。しかし、競技力を高レベルに高めるためには避けて通れない辛いトレーニングである。代表的な例として、ソリアとタバタトレーニングをあげてみよう。
「ソリア」
- ウォーミングアップ10分
- 最大心拍数の90%を目標に3~5分間トレーニング
- LSDのレベルで休憩を5~7分程度
- 最大心拍数の90%を目標に3~5分間トレーニング
- クールダウン5分
このようなトレーニングである。週に2回程度でよい。
しかし、これはやってみると分かるが死ぬほどつらい。というか無理ゲーだろこれ。
タバタトレーニング
- 最大心拍数の90%以上目標に20秒
- 10秒回復させるためにゆっくり走る
これでワンセット。これを6~8セット行う。トレーニングは正味4分ぐらい。
これにウォーミングアップとクールダウンがあるが30分はかからない。
とはいえ、これもまたやってみるとめちゃめちゃしんどい。
でも効果はバツグンであるという結果が得られており、全世界的に行われている方法である。
詳しくはタバタ式トレーニングの効用・方法、そして効率的にするための機材をご覧いただきたい。
終わりに
参考になっただろうか?
この心拍数の求め方はカルボーネン法という方法である。これで算出した心拍数を元に運動すると、かなりきついかもしれない。
運動を始めたばかりであれば、この目標心拍数からマイナス5ぐらいしてみるとちょうどいいと思われる。
コメント
最大心拍数はギリギリ限界まで追い込み続けた時の心拍数だと思うのだが。実際は筋がへたったり、心がへたったりで、出すのは難しい。おれの場合は長い坂を高速で登って、最後にスプリントをかけた時に出た値をそう称している。あの時はぶっ倒れた。VO2Maxテストで「もう駄目」になったときも、5拍届かなかった。
ただ、計算上の最大心拍よりも30近く高いのは、疑問の点である。(ランスアームストロングの37才の値が204だったのと似たようなのかもしれない)